ポップス × アンビエントの気持ちよさ。

      2016/03/05

0005426973_10

なんで今までなかったんだろう。

今月、シンガーソングライター、吉澤嘉代子のアルバム「東京絶景」がリリースされた。

彼女自身は、超ポップなファンタジー的シンガーであり、表題曲の東京絶景はすごーくいい曲なのだが、何より僕が驚いたのは、アンビエントミュージシャンのmoshimossが曲に参加していたことだった。

吉澤嘉代子

1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街育ち。
父の影響で井上陽水を聴いて育ち、16歳から作詞作曲を始める。
2010年11月、ヤマハ主催のコンテスト“The 4th Music Revolution”JAPAN FINALに出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。

2016年2月17日2nd AL「東京絶景」を発売し、4月には全国ツアーを開催予定、東名阪は初のホールツアーとなる。

もちろん彼女のファン層にとっては誰?って存在だろうが、僕にとっては大ニュースだ。

なぜならポップスにアンビエントが入るのは極めて珍しいから。

ストリングスやオルガンとは全く違う質感。でも決して相性が悪い訳ではない。

なんで今までなかったんだろう。

アンビエント系シンガーという存在

アンビエント系のシンガーも居る。

思いつく限りでも、Cuushe、ツジコノリコ、Noah、moskitooなどがそうだ。

共通して言えるのは、女性で、ミックスボイスやウィスパーボイスのような、背景にとけ込むような歌い方をするミュージシャンであるということ。

男性でも、number0やMemeなどはファルセットを多用している。

ハイトーンでやわらかく囁くような歌い方だ。

これらのミュージシャンは明らかにポップスとは一線を画している。

これだけ見れば、アンビエントは歌声を選ぶということだが。

吉澤嘉代子が見せた新境地

一方吉澤嘉代子は先述の通りポップスである。

そして東京絶景はサウンドのクオリティが高い。この柔らかいノスタルジーを醸し出すのは、後ろで微かにながれるアンビエントだ。

加えて徐々に上物が重なり盛り上がりを見せるが、ドラムは小節の頭でたたくだけで、ハイハットオープンで無理くり盛り上げるなんてことしない。思わずセンスいいなぁと漏らしてしまう。

たしかに声はリバーブを強めに聴かせて馴染ませているが、先ほど挙げたアンビエント系シンガーの曲とは明らかに路線が違う。

これ、今までありそうでなかったことだ。

なんで今までなかったのか

一つは、アンビエントとポップスはフィールドが違いすぎている。

もう一つは、ポップスのプロデューサーはそのアイデアが出てこない。

ポップスを作る時、上物が欲しいと思ったら、だいたいの人はストリングスを使おうと考える。

張った時の声を際立たせるし、迫力も出るからだ。

その点、東京絶景のアレンジはまさにアンビエントが “盛り上げて” いる。

これは誰もなし得なかった。

彼のアイデアかは定かではないが、プロデューサーの横山裕章氏は、入り口はピアニストとして、管弦楽から様々な音楽を一通り経験してます、といった方だ。

YUKIや木村カエラやJUJUなど、ポップスのアレンジャーというイメージだったが、映画音楽等もやってるらしい。

なるほどそれでいろんなアイデアが出る訳なのか。

シンセを操る人の発想といったところか。

とても嬉しいコラボレーションだった

ともあれ、東京絶景は僕にとってはとても嬉しい組み合わせだった。

アンビエントやグリッチノイズ、エレクトロニカなど、決してポップスと相性が悪くはない(と思う)ジャンルの音楽たち。

歌ものの売れているミュージシャンとアンビエント音楽家がコラボレーションするのは、お互いにとっていい試みになる。

現在のシティポップのながれを継ぐアレンジなんて同じようなものの堂々巡りだし、最近はシンセをバックに流して4つ打ちをやってるとなんとなくオシャレではやりそうだ。

この際、ノイズでビートを作って歌を乗せたら新しいなんて言われて流行るかもしれない。

話がそれたので戻すが、吉澤嘉代子とmoshimossは完全にいい試みだ。

音の種類が多用化した現在、聴衆の度肝を抜く、斬新で見事にマッチする組み合わせがもっと他にもあるかもしれない。

これを機に、いままでやってこなかった音の融合に目を向けたい。

センスあるメジャーのミュージシャンがそう思って模索してくれるのを願うばかりだ。

 - MUSIC