喧騒を音楽に。ExoticModulationSkyの魔力とは

   

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身の回りに纏い付く様々な音、音、音。

本来僕らはイヤホンをしなくても退屈でなんかないのかもしれない。

音階がある有機質な音だけを「音楽」と捉えることが、いかに感性の可動域を狭めているか。生活の中に潜む音って実はものすごくドラマチックなのかもしれない、という気づき。

 

調味料としての音楽

人が素材の味を活かした料理に惹かれるように、「必要最低限」の価値は流行傾向にある。最近よく聞くようになったミニマリストという存在や、装飾が一切ない無印良品の価値観がそう。

音楽についても同じで、煌びやかなテクノやEDMを横目に、ミニマルミュージックやエレクトロニカ、アンビエントが少しずつ求められるようになってきた。

 

なかでも12kのようなミニマルなアンビエントは、視覚や嗅覚までも作品の一部とするような、「聴き手の環境に依存」するようなタイプの音楽だ。

どういうことかと言うと、夏の蝉の音、交通量の多い交差点、波の音、これら全てが音楽で、イヤホンから流れる音は、この環境音をよりドラマチックに響かせるための調味料である、という考え方。

 

坂本龍一とTaylar Deupreeのライブ。たぶん理解の追いつく人は少数。でもその少数の人にとっては息をするのも忘れるような空間だと思う。

なぜミニマルアンビエントについて書こうと思ったか。それは、ExoticModulationSkyという人の音楽を聴いたことが始まりだった。

 

ExoticModulationSky

極限まで無駄を削ぎ落とした空間に、水音が響くような作品。美術館のBGMで流したいな。

これを聴いてあなたがどんなシチュエーションを思い浮かべるかは分からないが、街中で聴くのと自然の中で聴くのとでは全く違う作品になるに違いない。

これこそがミニマルアンビエントで、聴き手の環境があってこそが真の「完成」である。

 

8/24CD、配信でリリースされた彼のアルバム、タイトルの「Incomplete(未完成)」の通り、いろんな環境下で聴くことで完成する作品だ。個人的にベストだと思うのは、眠る時に窓を開けてこのアルバムを流すという聴き方。うん。

 

アンビエントに造詣を

現代クラシックのような壮厳さのなかに、人の体温を感じられる良作。アンビエントは暖と冷で言えば冷のイメージが強いジャンルと思われがちだが、こういう具合に人肌を感じる瞬間が毎度毎度たまらない。

 

ExoticModulationSkyの音楽は、忘れかけた頃にその感覚を思い出させてくれた。

繰り返すが、コンセプトは収録された「音」作品だけではIncomplete(未完成)。

是非、あなたの耳に入る環境音と合わせて「完成」させて欲しい。そこには見慣れた景色とちょっとだけ違う世界が見えるかもしれない。

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